SIRUI 35mm/F1.8 1.33xアナモルフィックレンズで夜景を撮る
mzyy94
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ずっと欲しかったアナモルフィックレンズを手に入れた。

SIRUI 35MM /F1.8 1.33X ANAMORPHIC LENS

最近カメラを手にする人が増えているようなので、どうせならとレンズにも興味をもって欲しく、記事にした。

Table of Contents

  1. アナモルフィックレンズとは
    1. 光学的特徴
    2. とっても高価なアナモルフィックレンズ
  2. SIRUIアナモルフィックレンズ
  3. SIRUI 35mm/F1.8 1.33xアナモルフィックレンズ
    1. 外観
    2. 付属品
    3. 重さ
  4. さあ、映画の世界へ
    1. 写真
    2. 映像
  5. まとめ

アナモルフィックレンズとは

Cinemascope-Projektion,_1.jpg 引用元: de:Benutzer:Gmhofmann / CC BY-SA

一度は映画館で映画を見たことがあるだろう。そこでは多くの場合、とても横長なスクリーンに映された映像を目にする。 もしくは地上波やBlu-rayなどで映画を見ることもあるだろう。ハイビジョンテレビに映された映画には上下に黒帯が入っていることが多い。 それらの横に長く作られた映像のことを、シネマスコープという。 比率は2.35:1だったり2.66:1だったりと色々あるが、縦に対して横が2倍以上の特定の比率を指している。 そのシネマスコープを映画のフィルムに焼きつけ上映するために用いられるのが、アナモルフィックレンズだ。

かつて映画の撮影と上映に広く用いられてきた35mmフィルムは、比率がほぼ4:3のアカデミーフォーマットだ。 そこにシネマスコープの映像を収録しようとすると、とても小さな映像になってしまう。

Anamorphic_lens_illustration_without_stretching.jpg 引用元: Wapcaplet, uploaded by Andreas -horn- Hornig / CC BY-SA

小さな映像をズームして映し出すようでは解像度が大幅に落ちてしまうので、フィルムを最大限に活用し迫力あるシネマスコープにするため、アナモルフィックレンズは映像業界に生まれたと言われている。

横方向の光をギュッと半分に縮める2xアナモルフィックレンズを用いると、広大な映像を半分の幅に収めることができる。 4:3のフィルムに実質8:3(=2.66:1)の映像を収録することができるのだ。

Anamorphic_lens_illustration_with_stretching.jpg 引用元: Wapcaplet, uploaded by Andreas -horn- Hornig / CC BY-SA

そのまま上映すると4:3の縦に伸びた映像となってしまうため、ここでもアナモルフィックレンズを用いる。 映写機にアナモルフィックレンズを取り付け、フィルムの映像を横方向を2倍に拡大してワイドスクリーンに映し出し、迫力ある映画を実現する。

アナモルフィックレンズやシネマスコープに関しては、REDの入門記事が詳しい(英語)。

映画のフィルムとアスペクト比の歴史は以下の動画でも学べる(英語)。

The Changing Shape of Cinema: The History of Aspect Ratio from FilmmakerIQ.com on Vimeo.

光学的特徴

Lake_Point_Tower_Flare_(Anamorphic)_(14929131291).jpg 引用元: Chad Kainz from Monterey, CA, USA / CC BY

アナモルフィックレンズは光学的に横方向の光を拡大縮小する効果のあるレンズだ。 その設計によって、アナモルフィックレンズで撮影された画にはさらなる特徴が生まれる。 それらのうち、代表的なものを列挙しておく。 この記事の後半でアナモルフィックレンズで撮影した映像や写真を紹介するので、特徴を思い出しながら見てほしい。

レンズフレア
強い光源を撮影すると、横に長い青色のレンズフレアが生じる。
たまボケ
開口部が縦に長い楕円形状のため、縦長の楕円のボケが発生する。
被写界深度
ボケやすく、焦点が合う範囲が狭い。
歪曲収差
映像の左右に少なからず歪みが生じる。

とっても高価なアナモルフィックレンズ

アナモルフィックレンズの横方向の倍率は4:3のフィルム撮影向けの2倍だけではない。 現代のデジタル撮影の基本となる16:9サイズで撮影する用途に合わせた1.33倍のものもあり、また、一眼レフやミラーレス一眼カメラに対応したものも登場している。 ただ、アナモルフィックレンズは用途が用途だけに、一般向けの商品は少なくプロ向けの高価なものばかりだ。

撮ってみたいと思い立っても手の届きにくいアナモルフィックレンズだが、期待のホープが現れた。 2001年創業の新進気鋭のカメラ機器製造メーカーであるSIRUIから、安価なアナモルフィックレンズが2種発売されたのだ。

SIRUIアナモルフィックレンズ

昨年末、SIRUIはクラウドファンディングのIndiegogoで安価な50mmアナモルフィックレンズを発表し、世界中から多くの注目を集めた。

Anamorphic Lens - 50mm F1.8 Anamorphic 1.33X

瞬く間に目標額に達し、目を見張る速さで製品化を果たした。 現在(執筆時)、Amazon.co.jpでも購入できるようになっている。

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好評なSIRUIのアナモルフィックレンズは波に乗ったまま、第2弾の35mmアナモルフィックレンズが今年8月にIndiegogoに登場した。

SIRUI 35mm/F1.8 1.33xアナモルフィックレンズ

IMG_5982.jpg

Indiegogoに登場してすぐ出資したこともあって、2週間ほどで商品が手元に届いた。 仕様は以下の通りになっている。

  • 焦点距離: 35mm
  • 絞り: 最小 F1.8 - 最大 F16
  • レンズ構成: 9群13枚
  • 絞り羽根: 10枚
  • 撮影距離: 最短 0.85m - 最大 ∞
  • フィルター径: 67mm
  • マウント: マイクロフォーサーズ
  • 重さ: 約700g
  • 全長: 約117mm(レンズキャップ除く)

外観

IMG_5998.jpg

冷たい金属で、SIRUIのコーポレートカラーでもある青いラインが特徴的だ。 マウントはマイクロフォーサーズなので、アダプタ不要でPanasonic GH5に取り付けられる。

付属品

IMG_5987.jpg

レンズポーチ、取扱説明書、ギアリング。 ギアリングをレンズに取り付けることで、露出とフォーカスをジンバルに取り付けたまま行える。

重さ

IMG_6762.jpg

約700gとスペックにあったが、16gのキャップ付きで実測は727gだったため、本体は711g前後である。 この重さだとPanasonic GH5のボディより重いため、三脚やジンバルではバランスの取り方に注意を払う必要がある。

さあ、映画の世界へ

導入部分が長くなってしまったが、出来上がる画を紹介していく。 レンズの特徴を示すため、光源が強い夜景を集めた。

映像はCinema4K(4096×2160)/23.98fps/4:2:2、写真は5184×2920/RAW+JPEGで撮影している。 映像にはFinal Cut Pro Xを、写真にはAffinity Photoを用い、シネマスコープに合わせるため横方向を133%に拡大して編集・現像した。

写真

GH5では、16:9の5184×2920で撮影した場合でも、RAW画像は4:3の5184×3888で記録される。 RAW画像は1.33xのアナモルフィックレンズに合わせて横方向を伸ばすと、6912x3888の16:9の画像として編集できるが、撮影時の構図に合わせてシネマスコープサイズになるようクロップを施してある。 一部クロップせずそのまま16:9にした方が写りの良いものがあったため、16:9と2.35:1の画像が混じっている。 また、Webで公開可能なサイズに収めるため、横の解像度が2560pxになるようスケールダウンしてある。

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映像

自動車のヘッドランプが輝く一般道を中心に、静止して撮影したものを集めた。手持ち撮影でFinal Cut Pro Xの手振れ補正を適用している。

まとめ

安価だが造りはしっかりしていて、出来上がる画も期待通りのものだった。素人撮影でも「映画っぽい」画が作れる。 ワイドな映像や特徴的な映像・写真を撮りたいと思い立ったら、まずはこのSIRUI 35mmアナモルフィックレンズを手にすることをおすすめしたい。

空前の動画撮影ブームが訪れている現代でも、映画のような横に長い映像を作る手法はあまり知られていない。 撮影した映像の上下をトリミング(クロップや黒帯の挿入)して横長の映像を作成する方法がまだ一般的だ。 アナモルフィックレンズを使うことにより、シネマスコープの映像を映画さながら実現できることは、もっと知られてもいいと思う。

IMAXで撮影される映画も徐々に増え、Blu-rayやハイビジョンテレビに合わせた16:9の映画も幅を利かせていることもあり、シネマスコープの映画を目にする機会は減りつつある。 ノスタルジーな映画の雰囲気を後世に語り継ぐためにも、アナモルフィックレンズによる撮影に興味をもってくれると嬉しい。